
井上は、事務室にある自分の机に積まれた書類の中から、必要な注文書を確認して職人達に手渡す。配られた注文書を確認しながら、手慣れた様子で道具の準備を終え、図面を見ながら慎重かつ丁寧にパーティションを加工していく。職人は使う道具を自らが選び、よく手入する。必ず手に馴染むものを使用する。「自分にあったいい道具を使うと、いい製品を造れる」とドライバーを回しながら製造部の渡部は言う。丹精込めて造られた「製品」は、必ず顧客に評価される。それはこれまでの経験で確信があった。
職人達の手により形を成してゆくパーティションは、0コンマ1ミリ単位の調整を施しながら製品として仕上げられていく。幾度もチェックを繰り返され、ようやく完成した製品は、工場の窓から差し込む日の光を反射させ、顧客の元に届けられるため梱包担当の桜井の元に送られるのを待つ。真新しい製品は、最終チェックを受けた後、丁寧に梱包され、ラベリングを受けて現場へと発送される。