
パーティション開発は難航する。話し合いは深夜まで連日続き、試行錯誤を繰り返して造り出された試作品は、工場内に無数に並べられていく。試作品は職人が丁寧に、快適な環境を思い描きながら、細心の注意を払って精緻に仕上げて行く。続々と生み出されるし作品に徐々に姿を現す新製品だったが、最終局面に停滞してしまう。
「天啓はドライブスルーでした」(天啓:天の導き)照れたように話す井上が、局面を打開できたのはあるファーストフードショップだった。開発の事ばかり毎日考える井上を、家族が気分転換に連れ出した休日の帰り道、立ち寄ったドライブスルー。色とりどりの豊富な取り合わせのメニューを眺めている時に、最後のパズルのピースが閃く。顧客のニーズに応える事が出来る豊富な種類の形、色、素材を、組み合わせて選べるシステムが最後の決め手になった。
冬の寒さも残るある日、井上と開発チームは、自信に満ちた笑顔で視察にやってきた設計部を迎た。そこにはこれからのオフィスデザインの核となるべく進化し、職人達の技術の粋を結集して造られた、新しいデザインパーティションがあった。顧客が楽しみながら、理想的なタイプを簡単にイメージ出来る新しいシステム。発売からわずか6ヶ月で200現場を突破した、不燃アルミパーティション DESIGN PANEL [ ee - easy(簡単) & evolve(進化) - ] は、こうして茨城県下妻市のわずか11人の町工場で誕生した。